Character Quest:Ashigara:VN:1
Background: 暗転
Background: Field
SFX:
<size=40>ワンッダースモーゲルッ!</size> |
いきなりなんですかアシガラ先輩 |
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スモーゲルっていったい…… |
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今日もいい感じにトンチンカンですね! |
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Music:
ええいっ、なんじゃその顔はぁっ! シャキッとせんかPlayerっ! |
まったく、このアシガラ様じきじきに 相撲の稽古をつけてやろうっちゅうんじゃぞ。 |
それこそテンションアゲアゲで! こう、ワーッと盛り上げるもんじゃろが? |
ちなみに、さっきの掛け声は、 あのザオウとかいう山男のを参考にしたんじゃ。 |
ワシら相撲取りも、流行っちゅーか、 ナウなセンスって奴を取り入れていかんとな! |
あれはそういうのとは違うんですよ |
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アシガラ先輩はあいかわらずだなぁ |
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また変な掛け声の人が増える…… |
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まあ、立ち話もなんじゃし、 そろそろ柔軟体操でもやっていこうかい。 |
ええか、ワシのやる動きを真似して、 一緒にやってみるんじゃ。 |
座り込み、足を広げると、 アシガラは上半身をぺたりと前に倒す。 |
肉厚な腹のせいで完全にとは行かないが、 体は見事に二つ折りの姿勢になった。 |
ほれ、ボーっと見とらんで、 足を開いて、体を倒さんかい! |
すみません、体が硬くて無理です | |||
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SFX:
SFX: |
こんな感じでいいですか? |
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ほら見て、足の指で鼻もつまめるよ |
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おうおう、なかなか筋がええのう。 柔軟のときは、息を吐きながらするとええぞ。 |
それが終わったら、 片手で足のつま先をつかむ動きじゃ。 |
よしよし。 体の柔らかさは大事じゃけ、入念にの。 |
その後も、熱心にアシガラは 体を曲げ伸ばしして、丁寧にストレッチを続ける |
相撲取りの稽古は 立ちあいやテッポウ、すり足ばかりじゃねえ。 |
むしろ関節を柔らかくする運動を、 熱心にやるもんじゃ。 |
体が柔らかければ、怪我もしにくくなる。 相手の変化にも対応しやすくなるしの。 |
その辺、野球やサッカーの連中より、 体操選手に近いかもしれんのぅ。 |
野球で思い出したけど |
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いつものメンバーは? |
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あいつらは、それぞれ部活の練習試合で 出かけとるわい。 |
会場がバラバラでのぉ、 片方だけ応援するのも不公平じゃけぇ。 |
そこで、暇そうにしているおんしを 呼んだっちゅうワケじゃ! |
別に暇じゃなかったんですけど |
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やっぱり一人ぼっちは寂しいですか |
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な、なんじゃ! なんでそういう意地悪なことを言うんじゃ! |
そ、それに、ワシが寂しかったからとか、 そういう理由だけじゃなく……。 |
ワシは……おんしに…… 言いたいことが……。 |
え、ええい、もうええわい! ほれ次はランニングじゃ! 河原まで走るぞ! |
SFX:
SFX:
SFX:
Background: 河川敷
Music:
思いもよらない速度で、 アシガラは河原までの道を走っていた。 |
それでも、息ひとつ切らさないのは、 日々の練習の賜物だろうか。 |
がははは! どうじゃ、たまにはこういうのもええじゃろが! |
い……息が……切れて…… |
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なんかムキになってないですか先輩 |
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本気で運動部の練習量だこれ!? |
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なんじゃい、もうへばったんか? だらしがないのぅ。 |
そんなんで大丈夫なんか。 ……お前んとこの、その、ギルドっちゅうのは。 |
なんじゃい、その顔は。 そのぐらいワシだって知っとるわ。 |
バーゲストさんからも、 いくらか話は聞いとるしな。 |
世間にうといワシの耳にも入るくらいじゃ。 ……色々、苦労してるんじゃねえか? |
そんなに大変でもないです |
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先輩には迷惑かけませんから |
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心配してくれてありがとうございます |
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Music:
……ぬ、ぬうううううううっ! ムカッと来たわいっ! |
ワシに向かってなんじゃ! その他人行儀な態度は! |
それとも、ワシじゃ頼りにならんとでも 言うつもりかぁ! |
どうにも虫の居所が悪いのか、 アシガラの顔は不機嫌で真っ赤になってしまう。 |
ええい、稽古じゃ稽古! こういうときは、話しても無駄じゃあっ! |
そこで構えい! ワシが稽古つけちゃるけえ! |
少しでも気を抜いたらぶっ飛ばすけぇの! 覚悟したれよ! |
Background: 暗転
Music:
Background: 河川敷
ど……どうじゃい! ワシの一撃、ちゃんと響いたか! |
それとも、これでもまだ足りんのか! もう一番やるか!? |
ちょ、ちょっと待って |
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今日の先輩、なんだか変ですよ |
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稽古の前にちゃんと説明してください |
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ワ、ワシはいつもどおりじゃ! 別に変なとこなんぞ……。 |
分かった分かった、 そんな目で見るんじゃねぇ。 |
Music:
その、なんじゃ。 おんしがな……おんしのことが心配だったんじゃ。 |
ガラの悪い連中に絡まれたとか。 ピストルで撃たれたとも聞いたけぇのぉ。 |
神宿学園の辺りは、 東京でもかなり安全だと聞いとったんじゃがなぁ。 |
それで、ワシぁ……いてもたっても いられなくなって、おんしを呼び出したんじゃい。 |
やっぱりアシガラ先輩は優しいな |
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護身のために稽古を付けてくれたんですか? |
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デートに誘ってくれたわけじゃないのか | |
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おんしはちぃっと、 頼りないところがあるけぇのぉ。 |
ちょうどいい機会じゃけぇ、 鍛えなおしてやろうと思ったんじゃ! |
なぁ…… Playerよ。 |
おんしは、ワシをおいて、 どこかに行ったりせんでくれよな? |
なんですか、突然 |
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アシガラ先輩やっぱり変ですよ |
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……すまんの。 なんだか、おんしを見ているとな。 |
ワシの友達だった、 あのアホウのことを思い出すんじゃ。 |
その人のこと聞かせてください |
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アホウって、誰のこと? |
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まぁ、ええか。 ちっと長い話になるぞ? |
Background: 吉野山
むかーし、まだワシが こことは別の世界におったころの話や。 |
ワシの住んでいた山に、 アイツはふらっとやってきた。 |
そのころのワシは、 自分が世の中で一番強いと、信じて疑わんかった。 |
そんな思い込みをよ、 あのバカは……あっさりぶち壊しよったんじゃ。 |
完敗しちゃったんですね | |
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ケンカから生まれる友情ってやつだ! |
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その人も相撲が強かったんですか? | |
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そんな漫画みたいな話じゃないわい。 アイツとは、顔を突き合わすたびにケンカじゃ。 |
まあ、勝負が終わった後は、 一緒にメシ食ったり川で泳いだりしたもんじゃが。 |
それから、ワシらは何をするのでも一緒。 朝から晩まで、山を駆けめぐっとった。 |
Background: 暗転
Background: 妖精郷の森
そんなある日、 アイツは……山を降ると言い出したんじゃ。 |
「山を降りて、都に出て、立派な武者になる」 ってな。 |
Music:
SFX:
ワシらは三日三晩、 殴りあった。 |
都になんぞ出てもろくな事はない、 ワシは、アイツを説き伏せようとしたんじゃ。 |
どうして都はダメだったんですか? |
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一緒に行ったらよかったのに | ||
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あのころの都は、荒れ放題でのぉ。 地震に竜巻、化け物が出るっちゅう話もあった。 |
オマケに夜盗やらなにやら、 性根の悪い連中もうろうろしちょる。 |
そんなところに、 友達をやれるわけないじゃろが。 |
結局、あのバカは折れんかった。 しまいにはワシも頭に来ての。 |
「もう、おんしなんぞ知らん! 都でも何でも、好きなところへ行けや!」 |
Background: 暗転
……それっきり、 アイツとは別れ別れじゃ。 |
風の便りに、 アイツは立派な武者になった、と聞いた。 |
それでもワシは……山を降りんかった。 その後じゃ、この世界に引かれてきたのは。 |
Background: 河川敷
後悔しているんですね |
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その人も東京に来ていたりして |
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ア、アホか!? そがいなことあるかい! ワシは後悔なんぞしちょらんぞ! |
その、ちょっとばかし、 寂しかったりするだけじゃ! |
……つまらん話を聞かせちまったわい。 ワシの愚痴はこれでしまいじゃ。 |
さて、稽古も終わったし、メシでも食いにいくか! うまいちゃんこ屋、教えちゃるけぇの。 |
もちろんワシのおごりじゃ! たんと食って、力をつけんとな! |
んん? なんじゃい、まだ何かあるんか? |
アシガラ先輩の後輩でよかったです |
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大好きです、アシガラ先輩 |
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Music:
ワシも……おんしが好きじゃ! いい後輩じゃと思っちょる。 |
だから、これからも、 おんしの先輩でいさせてくれるか。 |
もちろん! |
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よっしゃ! それじゃ、ちゃんこ屋までダッシュじゃ! |
しっかりワシについてこい! 分かったな! |
はい先輩! |
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SFX:
SFX:
SFX:
駆け出す前の一瞬、 アシガラの顔がちらりと目に入る。 |
照れくさそうな、 それでいて満足そうな表情。 |
その顔に近づけるように、 歩幅を広く、力いっぱい追いかけていく。 |
青空の下、二つの影は 少しづつ距離を縮めながら街へと走っていった。 |
寂しがり屋の君へ -END - |
Background: 暗転
Background: 暗転